はじめまして、「アルベルゴ湯楽」のシェフの松村です。
小規模旅館ながら「アルベルゴ湯楽」の魅力に惹かれこの場所で料理場を預かっております。
私が日々思っていることは、「ここでしか味わえない料理」をいかにお客様に満足していただくかということです。
湯楽は湯河原の中でも源泉掛け流しの優れた温泉があります。しかし、温泉が目的ではなく、ここを訪れる目的が「料理」であり、それだけでも魅力があって、価値あるものを目指しています。アルベルゴという名に恥じないように「料理を目的に来ていただける」旅館になりたいわけです。
なぜ、私はここ「アルベルゴ湯楽」のシェフをしているのか。
それは私の小学生時代にさかのぼります。私は子供のころから親の手伝いで料理をすることが大好きでした。ただ、当時はじゃまをしていただけかもしれませんが(笑) 何かを創るというよりは、その創ったものによって周りの祖父や祖母、両親などの満足する顔が大好きでした。そんな経験から将来は必ず料理人になりたいと幼いころからずっと思っていました。ちなみに男ながらに大好きな科目は家庭科でした。
そして、進路は何も考えることなく料理の専門学校に入学しました。
卒業後、イタリアンレストランに就職。当初はホールで接客から始め1年後には調理場に入りました。調理場はプロばっかりで正直大変でした。イタリア料理について学校で基礎的なことしか勉強したことがない、素人でしたから。まるで海外にいる雰囲気でした。オーダーはすべてイタリア語で、しかも殴り書き。さっぱりわかりませんでした。シェフは厳しい人で、間違えてはフライパンが飛んできたり・・・生傷の絶えない日々でした。
でも、今になっては良い思い出です。厳しいことばかりではなく、新しい発見も多くあったからです。そこで食べるものは何を食べてもおいしかったし、初めて見る食材もあり楽しかった。休みの日には東京や横浜に出向き有名店の食べ歩きをしました。そこで食べるものは新鮮で常に新たな発見が多くありました。その店では結局4年間働きました。
その後、東京のトラットリアに3年、ピッツェリアで3年働きました。店も小規模店舗が多かったのでお客様も近くとても充実した日々を送っていました。そんなとき「アルベルゴ湯楽」との出会いがあったのです。
「アルベルゴ湯楽」との出会いは家族で客として来たことが始めての出会いです。箱根や湯河原の自然と源泉掛け流しの温泉があるリゾート地「湯河原」で味わった料理は一段と美味しく感じました。夜はコース料理、朝は地元の食材を使った和定食と何もかもが美味しく感動しました。
私もこの場所で、お客様に料理を通じて心に残るような経験をしてみたいと思い支配人に話をしたところ、ちょうど欠員もありとんとん拍子に話が進みここで働けることになりました。
ここでは全20部屋の小規模旅館でレストランも小規模であることから常連のお客様との会話も楽しめ、また夕食、朝食とお客様と接していられることから、とても充実した日々を送っております。お客様に「美味しかったよ」と言っていただけることが何よりの喜びであり、料理人をしている自分自身の価値だと思うからです。
ここでは、相模湾から水揚げされたばかりの魚介類や、地元伊豆山の有機野菜や果物など自然環境に恵まれており新鮮な食材を使用できます。新鮮な食材を使用してイタリア料理の豪快で素材を生かしている所、和食の繊細さがうまく融合した料理を心がけています。お互いのいい所を引き出しあいながらうまく融合させて、ここでしか味わえない料理「アルベルゴ湯楽スタイル」を満喫していただき、いつか料理を目的に宿泊頂けるような旅館になれればと思っております。ぜひ新鮮な食材を使用した和とイタリアンの創作料理を召し上がってください。
ピノクラーレ料理長 松村